正直、いらいらしていた。 全く状況がつかめない。 外郭大地降下が終了してとりあえずひと段落ついたと思った。(大罪人の彼はまだ見つからない) それさえも疑問がいくつも残るが、とりあえずの事後処理に追われている間に、また騒動だ。 プラネットストームが活性化したとか、ヴァンの残党が動いているとか。 いい加減にしてほしいところだ。 一度報告にグランコクマに戻ったところ、フリングス将軍の師団が、レプリカの軍団に襲われたらしい。 何とか退けたらしいが、彼らはキムラスカの軍旗を掲げていたと言う。 その確認にキムラスカに行こうと思えば、同様の話を携えて、 キムラスカ組に加えダアト組がアルビオールでやってきた。 互いに、それは互いではないと確認し、では何者かと。 おまけに洟垂れサフィールがモースを助け出したらしい。 それらの話から、レプリカの軍団は六神将ではないかと辺りをつけたものの、具体的な策は出ない。 とりあえず預言をどうするかイオン様に相談しに行こうという話になれば、イオン様は誘拐されて行方不明。 しかも、アニスの両親まで姿を消していて、アニスは憔悴しきっている。 何やら不審な点がいくつもあるような気がするが、今はそれどころではない。 何も手がかりがなく、行き詰っているというのに、ここでさらに瘴気が復活してきた。 当然民衆も大混乱。 何か情報は入っていないかと、まずバチカルへ。 めぼしい情報はなく、強いて言うならアッシュとファブレ家でひと悶着あったくらいだ。 次にベルケンド。 一応情報として、超高密度の第七音素がすさまじい速さで動いているとのこと。 一時はグランコクマにもあったとして、少し驚愕した。 それなら、陛下が何か知っているかもしれない。 それから、先ほどのよりは小さいが、それなりに濃い第七音素が海上、ユリアシティの北辺りを漂ってるとのこと。 グランコクマに行ってから調査することにした。 そしてグランコクマ。 超高密度の第七音素について心当たりはないか、と尋ねた。 少し考えてから陛下は思い当たったようだが、答えてくれない。 曰く、言わないという約束を守れば、瘴気は問題ないとのこと。 全く持って訳が分からない。 多少脅してみたのだが、陛下には通用しなかった。 ついでにイオン様についても尋ねてみたが、こちらは完璧に知らないらしい。 次に、それなりの第七音素が観測されたと言う、海上へ。 行ってみると、ガイが見たことがあると言い出した。 フェレス島ではないかと言うと、それだ、とガイが納得する。 何が一体どうなって津波で沈んだ島が浮島になった。 原因も分からないまま、奥に進んでみる。 すると、そこには大量のレプリカ達がいた。 ガイの姉のレプリカもいると、ガイが動揺している。 どうやら彼らはモースに作り出されたらしい。 モースに不必要だと言われたらどうするつもりだ、と聞くと。 「我らの同胞が、屍で国を作ってくれる」 とわけのわからない言葉が返ってきた。 同胞とは、レプリカか。 屍で国とはどういうことか。 詳しく聞こうと思ったのだが、彼らは頑なになって口を開かない。 こちらが全員オリジナルというのも関係しているかもしれない。 レプリカが一体でもいれば、少しは違ったのだろうか。 さて、手がかりがなくなってしまった、と言う時に、なんと瘴気がなくなった。 青い空とまぶしい世界が広がる。 一体何が起きた。 瘴気中和が行われた場所も分からず、とりあえずベルケンドへ。 調査結果を聞くと、すさまじい速さで移動していた超濃密第七音素が、 東の方へ移動して一晩すると、瘴気が中和されたらしい。 何か手がかりは残ってないかと、その指し示された場所に向かう。 そこには確か創世暦時代の建物の、レムの塔なるものがあった場所だ。 行ってはみたが、もう何も無かった。 ただ、その屋上には明らかに何か大きな力を使っただろう痕跡だけ残っている。 第七音素の残滓と、大きく抉れた跡が。 それを見て、私は一つの仮説に行き着く。 ここで超振動が使われたのではないかと。 何もかもを分解する超振動なら、瘴気の中和もおそらく不可能ではない。(私は物理学は専門ではないのだが) だが、それを行える人物は酷く限られるのだ。 アッシュと、ルーク。(一応未確認意識集合体もいるが、未確認なので数えない) アッシュはずっと私達と共にいた。 ならばそれを行ったのはルークということになる。 アクゼリュスを崩壊させ、ベルケンドで別れてから全く行方知れずのレプリカ。 もしそれが本当なら、陛下に取引を持ちかけたのも、 高密度の第七音素として動き回っていたのも彼と言う結論になる。 だが、そうだとすると全く理由が分からない。 彼は一体何をしている? 何のために瘴気を中和した? アッシュ曰く、もうずっとフォンスロットは繋がらないらしい。 居場所も影も形もつかめなかった彼が、ここに来て現れた。 これの意味するところは? それに、世界を覆うほどの瘴気を中和して、彼は生きているのか? もしかしたらここで死んだのではないか? レプリカなら、死んだら音素となるので、死体は残らない。 一応この仮説に筋は通っているが、なぜかすっきりこない。 ああ、本当にいらいらする。 何一つ納得いかないままそこを離れ、今は第七音素はどうなっているかと聞くために、もう一度ベルケンドへ。 すると、何やら第七音素がぶつかっている場所があるらしい。 おそらく第七音素譜術士同士が戦っているのだろうと。 擬似超振動もしばしば発生しているのだとか。 もしかしたらヴァンがいるのかも、ということになり、私達はそこへ行ってみることになる。 場所は、なんと十数時間前まで私達がいた、レムの塔だった。 壮絶な戦いの裏表 (そこで戦いが終わりを告げるなどと知るはずもなく)